硬いイクラ(ピンポンイクラ)を柔らかく

イクラの醤油漬け

イクラの醤油漬け

11月に入ってから、「硬いイクラを柔らかくする方法はないですか?」とのお問い合わせを何件も頂きました。
最初に答えを言ってしまうと、硬いイクラは柔らかくなりません
残念なのですが、これは仕方がない事なのです。
以前にイクラの醤油漬けレシピにも記載したのですが、イクラの皮の固さは獲れた時期によるものですので、調理で柔らかくするのはほぼ不可能となります。

たまに「皮が硬くならない いくらの醤油漬」みたいなレシピを見かけますが、適切な時期に購入した筋子で作れば誰がお作りになっても柔らかいイクラが出来上がります。
逆に言えば、元の筋子が産卵間近の物だったりすれば、プロでも柔らかくすることは不可能です。

イクラの皮が固くなる理由

鮭の遡上とイクラの硬さの関係

鮭の遡上とイクラの硬さの関係

皆さんご存知の通り、イクラとは鮭の卵です。
卵は最終的に産み落とされ、そこから新たな命が誕生するわけですね。
生き物の卵なわけですから、産み落とされるまでの間、当然母鮭のお腹で成長していきます。
そして鮭は産卵間近になると生まれた川の上流へと集団で向かいます。
これを遡上と言います。
鮭は卵を川の上流域の小砂利混じりの川底へと産卵し、母鮭は最後の力を振り絞り卵を他の生物に食べられない様卵の上に小砂利をかけて一生を終えます。
この時卵が柔らかかったらどうでしょう?
小砂利で潰れてしまいますよね?
この事からお分かりの様に、卵の皮(イクラの皮)は、産卵に近付くに連れ硬く変質していくのです。

ワシがなぜこんなに詳しいかと言うと、かなり前になりますが、某県観光課の仕事で、川魚に関するビデオを制作した事が有るからなのですわ。
なので、アユや鮭等の魚の事はかなり勉強もしましたし、漁師さんの所で実際に体験して得た知識だったりします。
鮭の人工孵化の作業も撮影しましたが、産卵直前のイクラって、指で摘まんだ位じゃ潰れないのです。
それほど硬くなっていますので、それを醤油漬けにした所で、卵を解す時のお湯の温度とか調理手順には殆ど関係なく、硬くて噛み切れないイクラになると言う事なのです。

イクラが柔らかくて美味しい時期

筋子

筋子

では、イクラが柔らかくておいしい時期は何時なのでしょう?
これは鮭の獲れる場所(地域)で変わります。
早い所では9月上旬(北海道産)、遅い所では10月下旬迄(関東・中国地方産)が目安になります。
その中でも一番柔らかいのは川に入る前の物。
次いで川の河口付近で穫れた物となります。
鮭の遡上は水温にも影響されますので、水温の高い年は遡上が遅く、逆に水温が低いと遡上の時期は早まります。
今年(2016年)は海水温が異常に高かったので遡上は例年より遅かったのですが、それでも11月に獲れたイクラの皮は硬いでしょう。

前記しました通り、鮭は産卵近くになると上流へ向かいますので、上流付近で穫れた鮭の卵(イクラ)は硬いものとなります。
見分け方としては、粒が大きい物は硬い傾向にあると覚えておけば、ほぼ間違いないかと思います。
中には粒が大きくても柔らかいものもありますが、そういったものは極稀です。

ネット通販などで「ピンポンイクラ」とか、「訳有りイクラ」として販売されている物は、母鮭のお腹で熟成が進んだ産卵間近の皮が硬いイクラになります。
(中にはこれを好んで購入する方もいらっしゃいます)

ワシの知る限り太平洋側しか覚えていませんが、漁業権のある河川で鮭の南限は利根川で、ここで獲れる鮭の卵巣がその年にもよりますが10月中旬が限界かと思われます。
(wikipediaによると千葉県の栗山川が太平洋側の南限だとか)

ピンポンイクラを柔らかくするには?

残念ながら、ピンポン玉のように固いイクラの皮を柔らかくする方法はありません。
ただ、皮は硬いですがしっかりと噛んで潰れれば、味自体は濃厚です。
しかし、硬いイクラと言うだけで味わう気にならなくなってしまう方が大半かと思われます。

今年、イクラの醤油漬けを作って硬くてガッカリしてしまった方は、来年こそ美味しい時期のイクラを使い、美味しいイクラの醤油漬けに再チャレンジしてください。

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