ケーキが膨らまない訳とケーキを上手に焼くコツ

ここ最近、と言うか、バレンタインデーが近いせいでしょうか、ケーキが膨らまないと言うお問い合わせが多かったので、ワシの分かる範囲でケーキを膨らま無い訳とケーキを上手に膨らむように作るコツを書いておきます。
特にチョコレートを使ったケーキはプレーンなケーキよりも膨らみが悪くなるので、コツさえ掴んでしまえば誰でもきれいに焼けるようになります。

材料の鮮度

ケーキ作りでまず重要になってくるのが材料の鮮度です。
卵の鮮度が悪いと泡立ちも悪く、いくら泡立ててもユルユルのメレンゲにしかならずに、膨らませるために必要な空気(気泡)が極端に少なくなってしまうので、これではケーキは膨らみません。
ちなみに卵は殻が白い色の物と茶色い色の物が有りますが、栄養価や鮮度は殆ど変わりません。
親鶏の色で卵の殻の色が変わるだけですので、鮮度が良ければどちらでもかまいません。
また、ケーキ作りに使用する卵はMサイズが基本で、1個の重量は凡そ50グラムです。

そして小麦粉ですが、これは鮮度と言うよりは、保存がしっかり出来てない小麦粉は空気中の水分を吸いすぎてしまいでんぷん質が劣化しているので、保管に自信が無い方は新しい小麦粉を使ったほうが無難です。
小麦粉は水分量が10パーセントを超えると1ヶ月も持たずにダメにになります。
また、水分と共に室温も10度以下で保存する必要があります。
逆に言えば、完全に密封して冷蔵庫などで保存すれば、かなりの間持つと言う事です。
※注意!冷蔵庫で保存している場合、何度も冷蔵庫から出し入れすると、外気温との差が激しい時期などは特に結露が発生し、小麦粉が水分を吸ってだめになります。
ジップロックなどで小分けにして冷蔵保存すると良いと思います。

そこまでしっかりとした保存をしていないのなら、ケーキ作りには新しい小麦粉を使うことをお勧めします。
古いものは天婦羅や揚げ物などに使うと良いでしょう。
ちなみにケーキ作りで使用される小麦粉は、通常は「薄力粉」です。
小麦粉には大まかに「薄力粉」「中力粉」「準強力粉」「強力粉」の4種類に分類され、雑に言うと澱粉粒の粗さと小麦の性質で分かれています。
ケーキなどはグルテンを出したくないので、澱粉粒が細かい薄力粉、逆にパンなどのグルテンの力を必要とするものには澱粉粒が粗い強力粉。
フランスパンやうどんなどはその中間の中力粉を使用します。
中には食感を変えるためにそれぞれをブレンドして使用しているお店もあります。

砂糖の分量

ケーキ作りを始めたばかりの方で陥りやすいのが砂糖の分量

「えっ!こんなに砂糖使うの?」

「カロリーが気になるから砂糖を減らしちゃおう!」

なんて砂糖を減らすと、膨らみが悪くなり色付きも悪くなります
砂糖はレシピの分量を守りましょう。

その理由は

  1. メレンゲの気泡を糖分がコーティングして気泡が潰れにくくなるので砂糖を減らすと膨らまなくなる
  2. 小麦粉のでんぷんと水分、糖分が結び付き、適度な粘りが出て気方が潰れにくくなる
  3. 糖分が少ないとメイラード反応が起こりにくくなるので色付きが悪くなる

ザックリ言うとこんな感じです。

卵の泡立て

次いで重要になるのが、卵の泡立て。
卵を泡立てる方法は、湯煎しながら全卵を泡立てる共立て法と、
卵黄と卵白を別々に泡立てる別立て法が有ります。
何れにしてもツノが立つ程しっかりと泡立てる事が重要。
別立て法での注意点としては、卵白にも必ず砂糖を入れて泡立てると言う所。
分量全体の3/1程度の砂糖を卵白に混ぜて泡立てる事で、前記した通り糖分が卵白の泡をしっかりと包み、木目の細かく潰れ難い泡になります。
また、見落としがちなのは道具の手入れにもあります。
ボウルやホイッパーに水分が付いているとメレンゲはきれいに泡立ちません
道具は汚れがなく水分や油分が付いていない状態の物を使いましょう。

チョコレートなどを入れる場合

ザッハトルテ等、生地にチョコレートを使うケーキの場合、普通のスポンジケーキより膨らませるのが若干難しくなります。
上手に膨らませるには別立て法にして、卵黄に分量の砂糖3/2を入れ、白っぽいクリーム状になるまで泡立て、その中に溶かしてクリーム状になったチョコレートを3回程に分けて混ぜ合わせます。
その中に、残りの砂糖を入れてしっかりと泡立てた卵白を3回ほどに分けて混ぜ合わせると良いでしょう。
最初の1回は良くなじませるように混ぜ合わせ、2回目以降はメレンゲの気泡を出来るだけ潰さないように、切るように混ぜ合わせます。

小麦粉の混ぜ方

小麦粉は予め3回ほど篩っておき、ダマにならないようにサラサラにしておきます。
小麦粉の混ぜ方も、3-4回に分け、ボールを左手で回しながらゴムベラで切るように、出来るだけ気泡を潰さないように混ぜ合わせます。
捏ねる様に混ぜてしまうと気泡がつぶれるだけでなく、小麦粉からグルテンが出てしまい膨らみが悪くなります。
グルテンとはパンのモチモチ感や、うどんのコシにあたる物で、小麦粉を捏ねる事により澱粉質が変化してガムのような性質になった物です。
捏ねすぎてグルテンが出てしまうと、ケーキは膨らみが悪く硬い物になってしまいます。
とは言え、混ぜ足りないとダマができますので、捏ねる事無くサックリと、しかも満遍なく混ぜることが必要です。
また、小麦粉の澱粉は塩分と結びつくとグルテンが出やすくなる性質がありますので、ケーキ作りでバターを使う場合は、必ず無塩バターを使用します。

ベーキングパウダー無しで膨らむパウンドケーキのレシピ動画

2019年5月31日 ベーキングパウダーを使わなくても膨らむパウンドケーキのレシピを動画で撮りました。
卵を別立て法で作る時のメレンゲの硬さやメレンゲの混ぜ方、薄力粉の混ぜ方など参考になると思います。




Youtubeで見る
テキストと画像での詳しい説明はこちら
宜しければチャンネル登録お願いします♪

まとめ

ケーキが膨らむ原理は、加熱する事によってメレンゲの気泡が膨張し、同時に小麦粉のでんぷん質が卵や他の材料の水分を吸いながら粘度が出て伸び固まります。
メレンゲの気泡は出来るだけきめ細かく沢山作ってやれば、焼き上がりのケーキも木目の細かいふんわりとしたケーキに仕上がる訳です。
ですので、鮮度の良い卵を使い、出来るだけ木目の細かいしっかりとしたメレンゲを作り、小麦粉も出来るだけ湿気の無い新しいものを使って、小麦粉を入れるときは混ぜ過ぎない事に注意すれば出来上がりがきれいなケーキになると言う事です。
世間ではパウンドケーキやその他のケーキもベーキングパウダーを入れないと膨らまないと思っている方もかなり多いですが、ちゃんとした手順を踏んで作れば全くそんな事はありません。
そんな事を言ってたら、1898年以前のベーキングパウダーの無い時代のケーキは膨らんでいないって事になっちゃいますからね!(笑)
誰でも簡単に楽に膨らむので、手抜き料理で使うのは良いと思いますが、先ずは基本を知ることも必要だと思います。
他の料理にも言える事ですが、基本が出来ていれば余計な調味料や添加物など使わなくても美味しい料理は出来ますので。