柳刃包丁について

調理器具と言う単語を見てワシが一番先に頭に浮かぶのが柳刃包丁
それはワシが釣りが好きであり、そのうえ魚を捌くのが好きだからである。
特に鮮度の良い魚は刺身で食べたい。
そこで必要になるのが柳刃包丁なのである。


一口に柳刃包丁と言っても材質や長さも様々である。
料亭や寿司屋さんなどでは、刃渡りが尺(30cm)以上ある長い柳刃を使用していたりするが、一般家庭で使用するには刃渡りは240~270mm程度の物が使いやすい。
と言うのも、一般家庭の台所は奥行きが狭い所が多いので、長い柳刃では取り回しが悪く、最悪その辺りに刃をぶつけて折ってしまう事さえある。
因みに尺寸の柳刃の全長(柄から刃先まで)は凡そ50cm程になる。
実際ワシ自身も、尺一(刃渡り33cm)の柳刃(しかも本焼き)の切っ先をぶつけて欠けさせてしまった事が有る(汗)
奥行きの広いキッチンで作業が出来るなら、尺寸以上の刃物でも良いと思う。
ただ、尺を超える柳刃を扱うにはそれなりの技術も必要となるので、その辺りを覚悟の上で購入するとよいだろう。

そして刃の材質であるが、ワシがメイン使用している柳刃包丁は青二鋼と呼ばれる物を使用している。
青二鋼は切れ味がとても良く見た目もとても美しい。
#8000以上のの仕上げ砥石で研いでやると、表面はまるで鏡のように輝く。
本焼き包丁の方が切れ味はよいのだが、金額も安い物でも7万円以上もするので一般家庭では本霞で十分かと思われる。
金銭的に余裕のある方は水野鍛錬所 本焼DX 柳刃本焼 青二鏡面 柳刃 240mm、又は本焼 青二鏡面 柳刃 270mm等を購入すればよいだろう。
ただし本焼き包丁と言うのは扱いも難しく、温度差がある所など変な所に保管したりするだけで、使用してないのに刃が折れたりすることもある。
本焼き包丁は刃物界のF1マシンみたいなものですから、切れ味は非常に良いですが扱いは普通の包丁よりも神経を使います。

なぜ柳刃は長いのか?
それは刺身にする時に、刃の付け根から先端までを使い刺身を作る為である。
出刃包丁などでぶつ切りにした刺身と、柳刃で刃をいっぱいに使って造った刺身では別物である。
食べ比べれば誰にでもわかると思うが、舌触りから味まで別物の刺身なのだ。
理由は柳刃の刃をいっぱいに使って切った刺身は、断面の細胞が潰れないからだと言われている。
出刃でぶつ切りにしてしまうと、断面が潰れてしまい、旨みが外に逃げてしまうばかりか水っぽく舌触りも悪い刺身になってしまうのである。
なので旨い刺身を自分で造りたければ、切れ味の良い柳刃包丁は必需品とも言える。
金額、切れ味、手入れの面から見ても堺孝行 刺身包丁青二鋼鏡面 240mmはお勧めである。
少し安価な白鋼と言う素材の物も有るが、青鋼に比べると切れ味は鋭いが長切れしない。
ただ、プロの職人さんの話を伺うと白鋼の方が良いと言う方も多いし、家庭で使用するにあたって何十人・何百人の料理を作ることは無いと思われるので長切れに関しては然程問題にはならないと思われる。
なので好みで選べばよいと思う。
鋭い切れ味を望むなら白鋼、長切れを求めるなら青鋼と言った具合だろうか。

関西方面の方なら、料理人にも人気のある有次 柳刃包丁270なんてのも如何だろうか。
関東なら、正本総本店 柳刃包丁270 玉白鋼辺りも人気がある。

最近ではステンレス素材の柳刃包丁もかなり出回ってきたが、サビに強く手入れがしやすいが切れ味は落ちる気がする。
一口にステンレス鋼と言っても色々な種類が有るので、もちろん鋼材によっては切れ味の良い物もあるが、安価なステンレス包丁の場合、錆びにくく衝撃に強いので欠けたり折れたりしないと言う点を考慮すると、無頓着な方や一般家庭で使うには非常に優れていると思われる。
また、黄鋼を使った安価な柳刃でも、しっかり研げば家庭用としては十二分に使えるので、結局の所、どんな刃物を使おうが手入れ次第と思われる。
逆に言えば、ワシの様に釣った魚を捌く程度なら、しっかりと研いだ安価な黄鋼かステンレスの柳刃で十分だと思う。
高価で職人さんが使うような刃物を持っているのは「良い物を持っている」と言う自己満足にしか過ぎないのでw

保管について

鋼の鍛造刃物の欠点を挙げるとすれば、手入れが悪いと直ぐに錆びるという事とぶつけると欠けたり折れたりすると言う点。
前記した通り、鏡面仕上げの物は汚れが付き難く若干ではあるが普通の物よりは錆び難い。
だが、水分をいつまでも付けておくと、当然であるがあっという間に錆が浮いて来るので、良い包丁を購入したのであれば水気は要注意である。
自作和包丁ケース鞘が有る物なら汚れを落として水分を良くふき取ったら乾燥した鞘や和包丁 ケースに乾燥剤を一緒に入れて保管する。
鞘や包丁ケースが無いなら汚れを落として水分を良くふき取り、良く乾いたサラシ等に巻いて湿気の無い所に保管すると良いだろう。
暫く使用しないようなら、刃物用椿油を薄く塗って油紙などに巻いて保管しておくとよい。
また、本焼き包丁は特にそうなのだが、温度差が激しい所での保管はやめた方が良い。
特に冬の台所などは、火を使うときとつかわないときでは、かなり温度差が出来るので、熱の変化に弱い鍛造の鋼包丁はいきなり折れてしまう場合がある。
出来るだけ温度差の無い所で保管するように心がけるとよい。

手入れについて

家庭で使用するぐらいの頻度なら、使用後2回に1回は刃を研ぐと良いだろう。
刃こぼれなどをしていない場合は、使用後に仕上げ砥石で仕上げるだけでよい。

用意する砥石は、#1500位のシャプトン刃の黒幕 ブルー #1500、仕上げには#5000のシャプトン刃の黒幕 エンジ辺りがあれば良い。

刃こぼれをしてしまったときは、#180~#300位のシャプトン セラミック砥石 刃の黒幕 荒砥石を使用して刃を出し、「中砥石」「仕上げ砥石」の順に研いで仕上げていく。
仕上げはワシの場合、手の甲の産毛が剃れる位の切れ味に仕上げている。
ようは、剃刀ぐらいの切れ味に保つということである。

高鳳 白鋼本焼き柳刃

高鳳 白鋼本焼き柳刃

出来れば最後の仕上げにシャプトン セラミック砥石 刃の黒幕 クリーム #12000を使えば、より鋭く切れるようになるのでお勧め。
因みに砥石の面は、常に平らに保たなければ包丁に正確な刃が付けられないので、面直し砥石なども必要になる。
また、#12000で研いだ刃の表面は鏡面状になるので、刺身を引く時に身が包丁の肌に張り付きやすくなると言うデメリットもあり、細か過ぎる砥石で研いだ刃物を嫌う方もいます。
しかしこれは、刺身を引く前に固く絞った濡れ布巾で刃の表面を湿らせることで解消できるので、この辺りは慣れと好みも有るでしょう。
あと鏡面にするデメリットは、これは本焼き包丁に限っての事だが、本焼きの特徴でもある波紋が見え難くなると言う事かな・・・w

また、和包丁を使う時には、まな板は木製のまな板を使うことが望ましいです。
理由は、プラのまな板など硬い材質のまな板は、刃が傷みやすいからです。
木製のまな板は適度な弾力があるので刃を傷めません。

ワシが使っているのは画像の京都白木屋さんのねこ柳のまな板で、まな板としてはかなり高価ですが、刃あたりがとても柔らかく木自体に抗菌作用もありその材質は超一級品です。
多くの職人さんが愛用しているいちょうのまな板もお勧めです。
コスト等も考えると桧(ひのき)等も良いと思います。

と言う訳で、美味しい刺身は切れる包丁。
旨い刺身を造るには、素材の良し悪しと共に大事な要因である。


【2019年6月追記】
Misono UX10 牛刀 270mm

Misono UX10 牛刀 270mm

先日今迄万能包丁として使ってた牛刀が短くなったので、初めてステンレス包丁のMisono UX10 牛刀 270mmを購入したのですが、本刃付けをしたら物凄く切れますねぇ!
牛刀ではありますが、ワシの持っている柳刃の中でも一番切れ味の良い白鋼本焼きの柳刃同等に切れます。
かぼちゃなどの硬い野菜もスパスパ切れるし、その後に刺身を切っても切れ味抜群!
この位の切れ味が有れば無理に錆びやすい鍛造の柳刃を購入する必要は無いと思った程です。

と言うより、「ステンレスはダメだ!」と思っていたワシ自身の考えが古いのだと思い知らされましたf^^;
時代も刃物も職人さんの技も進化し続けているのですな。

コメントを残す